【太陽は僕らを照らしてた】

 「センパ〜イ!!」
 

八月の暑い日、日比谷渉は自分の彼女を見つけて駆け寄った。

 「来てくれたんスか?」
「うん。当たり前じゃない!…いよいよだね」
「ハイ!!」

 二人は強い日差しが照り付ける甲子園球場を見上げた。
そう、主将日比谷率いるはば学野球部は、本日甲子園の決勝を控えているのである。

 「此処まで来る為に、みんなで猛特訓したんス!!絶対優勝ッスよ!!」
「うん!頑張ってね!!私はスタンドで応援してるから!!」
「ハイ!先輩の応援が有れば百人力ッス!!」

日比谷は瞳を輝かせてガッツポーズをした。
そんな日比谷を見て、少女はクスクスと笑った。

 「そう言って貰えると応援し甲斐が有るよ。アリガト」
「いえ!本当の事ですから!!先輩の応援は何百…いや、何千人の応援よりも勝りますっ!!!!」

更に強く拳を握り、少女を見つめて熱弁する日比谷を見て、彼女は「うんっ!」と太陽の様な笑顔で答えた。



 「…あ、渉。そろそろ時間じゃない?」

少女が時計を見ると、日比谷も確認をして、はぁ…と溜息を吐いた。

 「ほんとだ…何だか名残り惜しいッス……」
「何言ってるのよ!試合が終わってからも会えるじゃない」
「それはそうっスけど…ずっとこうして居たいって言うか…その…」

少女はガッカリする日比谷の肩をポンと叩くと、その肩が震えているのに気づいた。


(??…もしかして渉、緊張してる…?)


 そんな日比谷を元気付ける為に、少女は両肩に手を置いて彼を真っ直ぐに見つめた。

「これから決勝なのに、キャプテンがそんなんでどうするの?優勝するんでしょ?!」
「…そうっスよね。自分、弱気になってました…スミマセン」
「うん。心配しないでも、渉なら大丈夫だよ」
「…センパイ…」

 日比谷が顔を上げると、自分の事を見つめている少女と視線がぶつかった。
目が合うと彼女はニッコリと柔らかく微笑んだ。


 「○○さんっ……!!!!」
「!!!!!!!?」

 日比谷は、自分の肩に乗せたままの少女を引き寄せて、緊張を振り払うかの様に強く抱き締めた。
そんないきなりの出来事に、少女は驚き戸惑う。

 「わっ…渉?!」
「俺、行ってくるっス…そして…絶対、貴女に優勝をプレゼントしますからっ!!!!」
「うん…」

日比谷は更に強く少女を抱き締め、彼女は彼に身を任せた―――

 「じゃっじゃあ、自分はこれで失礼するッス!」
「うん!頑張って!!」
「ハイッ!!」


 時間ギリギリになってしまった日比谷は、駆け足で会場へと向かう。
走り去る日比谷に少女は大きく手を振り、彼もそれに答えて手を挙げた。


(日比谷渉は…ドラフト逆指名でプロに入団して…三年後、貴女と結婚するんス!!)




強い強い想いを胸に、日比谷は決勝の舞台へと向かって行った……―




 彼女の為に大活躍を見せる日比谷と、そんな彼を一生懸命に応援する少女の姿を、八月の熱く、眩しい太陽は照らしていた。




fin


定としては、卒業後の甲子園です。
日比谷は、部長になって甲子園で優勝して、プロになると思ってます(笑
個人的には修学旅行後スチの髪を下ろした姿の方が好きです。
告白の時に2take目を要求する姿は、彼らしかったんですねぇ。。。


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